『女性研究者支援モデル育成』から『女性研究者養成システム改革加速』へ

第3期科学技術基本計画に数値目標入りで明記された、科学技術分野における女性研究者の活躍促進。これを実現するため、文部科学省は平成18年度より科学技術振興調整費の新規事業として「女性研究者支援モデル育成プログラム」をスタートさせました。「女性研究者がその能力を最大限発揮できるようにするため、大学や公的研究機関を対象として、研究環境の整備や意識改革など、女性研究者が研究と出産・育児等の両立や、その能力を十分に発揮しつつ研究活動を行える仕組み等を構築するモデルとなる優れた取組を支援する。(振興調整費募集要項より)」というこのプログラム、北海道大学を含む10大学が「1期生」として開始、3年間にわたって推進してきました。誰も経験したことのない国費を使った女性研究者支援に戸惑い、悩み、苦しみ、怒りながら、それでも新しい風を感じつつ、道を切り拓いて闘ってきました。2期生10機関、3期生13機関、そしてこの春に採択された4期生12機関、今や仲間は全国に広がり、それぞれの大学・研究機関の特性・実情に合わせた支援策が展開されています。

モデル育成事業1期生の「卒業」にあたり、文部科学省は平成21年度より科学技術振興調整費による女性研究者支援事業第2弾として新たに「女性研究者養成システム改革加速」を立ち上げました。これは「多様な人材の養成・確保及び男女共同参画の推進の観点から、特に女性研究者の採用割合等が低い分野である、理学系、工学系、農学系の研究を行う優れた女性研究者の養成を加速する必要がある。本プログラムを実施し、機関におけるシステム改革に効果的な分野・規模で当該女性研究者の採用を行うことにより、人材の多様化、研究の活性化及び男女共同参画意識の醸成、さらには、機関として本来取り組まなければならない柔軟な組織編成や環境整備等を同時に促進し、総合的なシステム改革の構築を目指す。(振興調整費募集要項より)」という女性研究者支援事業アドヴァンス編です。「女性研究者支援モデル育成事業」で支援基盤が整備された機関において、女性研究者を正規教員として養成・定着させることを目的に、支援活動が盛んになってもなお女性比率がなかなか増えない理学系・工学系・農学系の3分野に特化して、女性教員を新規採用する場合に人件費のうち300万円を3年間振興調整費から出せるという画期的な事業です。北大でも、モデル育成事業と並行して展開してきた独自の女性教員採用促進策「ポジティブアクション北大方式」により、正規教員における女性比率は3年間で7.0%から8.6%に上昇しましたが、理・工・農分野での女性教員比率は低迷したままですので、これらの分野にはより強力なポジティブアクションの必要性を感じ、議論してきていましたので、新規事業「システム改革加速」は正に、そのような私達北大にエールを送ってくれているようでした。ぜひとも採択されたいと願って応募した提案課題『輝け、女性研究者!根を張れ、花咲け、実を結べ@北大』は、応募17件・採択5件の難関を突破して採択されました。

モデル育成事業での課題『輝け、女性研究者!活かす・育てる・支えるプラン in 北大』に続く『輝け、女性研究者!』シリーズ第2弾として、システム改革加速での提案課題は『輝け、女性研究者!根を張れ、花咲け、実を結べ@北大』。3年間の事業で進んだ環境整備・意識改革をさらに拡充しながら、女性だけを対象とする教員公募を行い、女性教員の増員・定着・活躍促進を図る「北大F3プロジェクト」を推進します。