Interview

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北大研究職パパたちの座談会 ―育児中男性研究者編―Vol.3

色々経験してきたみなさんが今考えること、思うこと。

 

―――ご自分のラボに、研究で一旗あげたいっていう希望があって、アイディアにも溢れている女性研究者が入ってきて、結婚・妊娠・出産・子育てというライフイベントを迎える時、研究室の仲間としてどのように対応やアドバイスをしたいと思いますか?

Cさん:応援するでしょうね。その研究が彼女のアイディアによるものならば、それをどのように進めるかは彼女が決めるべきだと思います。ライフイベントとの研究の両立のために、僕の経験からできるアドバイスとしては、学生に自分の状況をちゃんと説明して、どういう結果が欲しくて、どういう実験をして欲しいということを、できる限りでいいので、細かく話すということじゃないでしょうか。そして、周りの自分たちができるのは、そういった、その彼女と学生のプロジェクトの進行具合に関して、外から何か手助けすることはないでしょうか。彼女のアイディアなのに、それを他の誰か(研究者)が引き継いで、学生さんと一緒にやるっていうのは、なんか変でしょ。

研究者に向いている、向いてないは問題じゃないと思います。その人が選ぶべきです。僕らは何もそこに関しては言う必要がない。子供を持ちたいとか、どういうタイミングでどうしたいっていうのに関しては、自分の経験を話すことはできます。そこから必要なものを抜き取って判断してくれればいいかな。

Aさん:おそらく、我々世代は、できるサポートを全力でするんじゃないかと思います。我々世代は、家族を持っている身からすると、そこを女性だからどうとか、そういうことは特にないかなと。そのときのその人の判断や、やりたいことを断然応援する、もうそういう気持ちしかないかな、という気がしますね。

Cさん:そうだね。

Bさん:そうですね、サポートしたいなと思いますね。やっぱり研究者として、アイディアとその研究のディレクションをしっかり持っているんだったら、それに従ってやっていけばいいと思いますし、どうしても直接会えないってことであれば、学生の細かいケア、そういうところをサポートしてあげたらいいかなとは思います。他者と協働して研究を進める中で、どうしてもメンタルが落ち込んだり上がったりといろいろありますので、そういう所はなかなかオンラインだとケアしきれないとこあるかもしれないので、その辺のケアが我々のできるとこかなと思っています。

Cさん:本当にそう。

Dさん:授業も変われる分は全部変わりますし、院生の指導とかももちろん引き継いで全面的に協力したいなと思います。今は任期がありますが、任期などしがらみがなければ、もっと積極的に協力できるんじゃないかなと思います。

―――最後に、結婚・妊娠・出産・育児を経験されている皆さんが、そのときのそれぞれの困っている当時の、自分に言ってあげたいことや、後輩たちへのメッセージや大学へのリクエストをお願いします。

Cさん:職場への状況説明はとても大切なのですが、教職員だけじゃなくて、学生さんにも(家庭と仕事の両立について)状況説明しとかないと。彼らも大人ですからわかりますよ。これから彼らも通る道なので、教育のひとつと思って彼らにも伝えた方がいい。会社に進んでも、ライフイベントの時には大学のときの先生はこんな感じで仕事していたとか思い起こしてもらえるとうれしいです。

Aさん:少なくとも、結婚に関して言えば、悩むとか、今じゃないとかそういうことじゃないような気がしていて。勢いとタイミング。“今”なんじゃないかと思うのです。迷ったら今動けばいいんじゃないかなって。それ以外は、誰かに頼るということが大事だと思います。頼りになる人に頼ることは、一つ重要かなと。私の妻の実家は札幌ですが、学生時代の友人はほとんど札幌にいないんです。その中で、すごくよかったなっていうのは、最初に住んだ場所が大学の宿舎だったことです。周りの家族は大学での経験豊富な先輩方がいっぱいいて、子供がいる家庭もいっぱいあって、困ったときにすごく頼りになって、いろんなことを相談できたので。大学の宿舎って建物の住み心地としては課題がありますが、その(周りに経験の先輩方がいた)点ではすごく良かったですね。いろいろ不安があるとか迷っている人は、そういうところに住むのもおすすめです。

Bさん:そうですね。自分に言ってあげたいことというか、どうしても良い仕事をするためには、良い家庭が必要だと、子供を持ってからすごく感じています。
良い家庭っていうのはかなり時間を要するものだということが、最近、結婚6年目7年目でようやくわかってきた気がします。自分の時間がない、とか短絡的に考えてしまうと、家族との対話ができなくなってきてしまうので、良い家庭を作るのが難しいかなと。これからも良い家庭を作れて、その上で仕事をできるように頑張りたいなと思っています。

Dさん:これからの時代はやっぱり仕事だけっていうことじゃなくて、ライフワークバランスがすごく大事だと思っています。自分も昔は仕事だけしていればいいと思っていましたが、やっぱり何のために働くかというと、家族の為に働くっていう楽しさもあると思うので、大変な道だと思うんですけど、頑張って欲しいなあとは思っています。

Cさん:気になったこと、最後ですけど言ってもいいですか。この今、今出ているスライドに、あの仕事と家庭の「両立」ってあるでしょ。これは一般的に言われているものなのですか。家庭があっての仕事だって、僕もその考えなのですけどね。両立っていうと、そういうマインドでいいのだろうかっていう、こともあって。

Bさん:僕も思いました。

Dさん:どうしてもやっぱりまだまだその家庭優先とか仕事優先っていう考え方はこびり付いているので、違和感はないですけどね。
そうするとやっぱり両立っていう言葉もやっぱり出てくるんじゃないかなと思います。本当はおっしゃるように、家庭がうまくいけば仕事がうまくいくっていうか、いい循環になればいいのだと思いますが、まだまだ縦割りのような感じがします。
これはやっぱり自分ひとりじゃ解決できない気がします。

あとがき

3回にわたり、男性研究者の結婚、育児についてのお話を届けしました。 パートナーとのコミュニケーションや家事や育児のバランスについて、座談会メンバーそれぞれが自分なりのベストなスタイルを模索しつつ日々生活している様子を共有いただきました。 プライベートも研究も、ご家庭それぞれの正解があることがわかります。他人 のプライベートを聞くことは憚られることもありますが、チャンスがあれば聞いてみると、意外と自分と同じことで悩んでいたり困っていたり、それを解決した経験があるかもしれません。周りに聞くほどでも・・・という時は、Ree-Dの↓ボタン(相談・感想など)でもつぶやきをお待ちしています。

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