活動報告

D&I推進宣言制定記念講演会:第3回記念講演開催報告

第3回記念講演:大学とセクシュアリティ

  【日 時】2021年12月20日(月)18:30-20:00
  【講演題目】なぜ、ダイバーシティが必要か?―尊厳としてのセクシュアリティ―
  【講演者】三成 美保 奈良女子大学教授
  【聞き手】鈴木 賢 明治大学法学部教授、北海道大学名誉教授
  【司 会】瀬名波 栄潤 北海道大学大学院文学研究院教授

はじめに司会の北海道大学大学院文学研究院教授、北大公認LGBTQ+サークル「虹の集い」顧問の瀬名波 栄潤氏より、今回のダイバーシティ&インクルージョン宣言までの経緯について説明がありました。
 

    瀬名波 栄潤 北海道大学大学院文学研究院教授

つづいて奈良女子大学教授三成 美保氏よりオンラインでご講演いただきました。
北海道は、政令指定都市の中でもいち早く同性パートナーシップ証明制度を定めるなど、地域の関心が高く、北大の中でもダイバーシティ&インクルージョンの推進体制があることや、北大公認LGBTQ+サークル「虹の集い」の活動があることなどをご紹介いただきました。
 
性の多様性というのは特定の人の特別な問題ではなく、全ての人に共通する尊厳の問題であるのに、現状ではLGBTQの人々の割合について国が統計を取っていないために政策が進みにくく、各自治体や教育機関で個別に理解を進める対応をしなければいけない状況にあるそうです。

        三成 美保 奈良女子大学教授

また、管理職の立場であることが多い50歳以上の人が、教育の場でトランスジェンダーについて学ぶ機会がなかった人が大半であることから、世代間で性教育の格差があることを前提に取り組みを進めていく必要があることもお話いただきました。
日本と比較した各国の性的指向・トランスジェンダー法制度や、国際的な人権文書をご紹介いただき、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)から、LGBTQの人に対する悪意のないささいな暴力が日常的に行われており、全ての人がそれに気づくための研修を受ける必要がある、とご説明いただきました。
海外では法的性別を変更することは難しくないのに対し、日本では法的ハードルがとても高い。性別の移行過程や時期は多様なので、学びの場でどう保証するのかが大切であるとお話いただきました。
最後に大学の対応課題として、当事者である学生からのニーズの聞き取りやオールジェンダートイレの設置、包括的性教育の重要性、LGBTQが働きやすい職場づくりをしている企業の先進的な取り組みをご紹介いただき、LGBTQの権利保障だけを行うのではなく、ジェンダー視点をふまえた施策を行うことで多様な人材の育成につながり、経済的・社会的効果が生まれることをお話いただきました。
 

   鈴木 賢 明治大学法学部教授、北海道大学名誉教授

聞き手の明治大学法学部教授、北海道大学名誉教授の鈴木 賢氏からは、人の性別は男と女のみではなく、もっと複雑でグラデーションがあり、連続体であることを認識し、特定の性的あり方だけが正常で当然のものとする考えを打ち破る先頭に、北大が立ってほしい。ダイバーシティというのはそうした多様な人間をありのままに認識することで、当事者に対しては「配慮」ではなく、どの存在も同価値なんだという態度への転換と、制度や規範としていく必要があるとお話いただきました。
また、日本のセクシャルマイノリティが置かれている特徴として、異性愛主義の人には婚姻制度・配偶者控除・扶養手当など法的な制度に守られているが、そうではない人には制度がなにもない「私」の領域にしか存在できないという人権の問題があることを挙げていただきました。
三成先生、鈴木先生からは、「北大がダイバーシティ&インクルージョン宣言を出したことは歓迎すべきことではありますが、今後は宣言の中身をいかに実質的なものにしていくかが問われます。北大が団結して制度化し、学生に見えるように形にすることこそが、ダイバーシティ&インクルージョンだと思います。」と強いメッセージをいただきました。
三成先生、鈴木先生、貴重なお話をありがとうございました。

「北海道大学ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」制定記念講演会開催報告

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第2回記念講演
第4回記念講演、閉会式